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ミステリの祭典

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Chez Krull

作家 ジョルジュ・シムノン
出版日1975年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2022/06/24 21:55登録)
1939年に発表された本作の原題の意味は「クリュルの家で」。Chezは、「~の著作中では」といった意味にも使われる、広い概念の言葉です。
フランスの運河沿いの町(シムノンらしい!)で柳細工を作りながら食料雑貨店を営むドイツ人家族を、ドイツからハンスが頼ってやってくるところから始まりますが、途中から必ずしも彼が主役というわけでもなくなってきます。話の方は、まず運河から若い女の絞殺死体が見つかり、その犯人を捜すミステリになるかと思いきや…
読んでいて、ひょっとして後の『ベルの死』(1952)と同じパターンかとも思いました。実際殺人犯ではないかと疑われるという点では共通していますが、シムノンには珍しく時代に即した社会性を持った展開で、結末は違います。というか、なぜそうなるのかわけのわからない結末で、数年後設定のエピローグでも明確な説明のない、途中はおもしろいのに落ちつきの悪い作品でした。

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