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ミステリの祭典

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もののけ本所深川事件帖 オサキと江戸の歌姫
オサキシリーズ

作家 高橋由太
出版日2012年05月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2022/06/15 22:43登録)
雨の多い本所深川。雨止めの伝え歌「十人の仔狐様」を歌う、十人組の歌組“本所深川いろは娘”が大流行している。一番人気の小桃が行方不明になり、大川で死体となって見つかった。小桃の代役として古道具屋のひとり娘・お琴が指名され、心配した安左衛門は手代でオサキモチの周吉を付き添わせることに。しかし、他のメンバーが歌詞の通りに次々と謎の死を遂げ…。妖怪時代劇、第四弾。
『BOOK』データベースより。

参考文献にあるように『そして誰もいなくなった』へのオマージュと考えられます。江戸本所深川で大人気の十人組の町娘で構成された本所深川いろは娘は、今で言う女性アイドルグループ。今から十年前の作品なのでAKB48がまだまだ人気だった頃です。そのAKBグループの営業戦略を模倣するように、押しメンの手拭いを色分けして売り込み、その売り上げの多い娘がセンターを務めるという徹底のし様。その娘たちがかぞえ唄に倣ってどんどん死んでいきます。そして仔狐人形が一人死ぬ度に一つづつ無くなっていき・・・。

ページ数が少なめな割りに死者が多いので、内容としては希薄です。一人死ぬ度にいちいち捜査されたりしません。大雨の影響でそれどころではないというのが現状の様です。しかし終盤の真相判明のシーンはなかなか読み応えがあります。まあ誰が探偵役をする訳でもありませんけれど。問題は動機、この時代ならではのものと思われますが、あまり納得出来るものではありませんでした。もう少し何とかならなかったものかと思ってしまいます。しかし、事件の裏に隠された悲しい現実が心を打ちます。こんな時代もあったんですね、それを考えると今の時代はまだまだ捨てたものでは無いと思わずにはいられません。

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