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ミステリの祭典

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少女葬

作家 櫛木理宇
出版日2019年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 HORNET
(2022/06/05 20:06登録)
 バス、トイレ共同、敷金礼金なし、保証人不要、性別および年齢制限なしのシェアハウス。毒親からの精神的虐待に堪えかねた16歳の少女・綾希が家出して逃げ込んだその場所は、生活に困窮した者たちの巣窟だった。物を盗られるのは当たり前の、不潔で悪臭漂う場所。そこで彼女は、同じ家出少女の眞実に出会う。唯一心を許せる存在だった眞実だが、まっとうに身を立ててここを抜け出そうとする綾希に対し、危ない世界に憧れ、深みに嵌っていく眞実。些細なきっかけから別離していき、やがて二人はそれぞれの道へ――。

 現代の格差社会の暗部を描き出したような作品。ハッピーエンドとは言えないが、「意外な展開」という名のもとに最悪な終わりではなく、物語の流れ上自然な結末でまぁよかった。そのせいで意外性はないのだが。

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