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ミステリの祭典

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わたし、二番目の彼女でいいから。

作家 西条陽
出版日2021年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2022/05/30 22:49登録)
私も桐島くんのこと、二番目に好き」

 俺と早坂さんは互いに一番好きな人がいるのに、二番目同士で付き合っている。
 それでも、確かに俺と早坂さんは恋人だ。一緒に帰って、こっそり逢って、人には言えないことをする。
 だけど二番目はやっぱり二番目だから、もし一番好きな人と両想いになれたときは、この関係は解消する。そんな約束をしていた。
 そのはずだったのに――

「ごめんね。私、バカだから、どんどん好きになっちゃうんだ」

 お互いに一番好きな人に近づけたのに、それでも俺たちはどんどん深みにはまって、歯止めがきかなくて、どうしても、お互いを手放せなくなって……。
 もう取り返しがつかない、100%危険で、不純で、不健全な、こじれた恋の結末は。
Amazon内容紹介より。

ラノベです。高校が舞台の恋愛小説です。でもラブコメではなく、結構シリアスです。私は夢中になると周りが見えなくなるタイプなので、どうも主人公の桐島や早川さんの気持ちはイマイチ理解できません。好きな人がいながら、二人が二番目に好きな者同士で付き合うというのはどういう心境なんだろうという素朴な疑問に応えようとしているのだと思いますが、何か裏がありそうな感触を残しています。結構エロく、しかし良いところで寸止めして妄想を掻き立てられます。
一話完結だと思っていたら、既に三作目まで出ていたのね。何作まで続くのか不安になりながらも、続きが気になってモヤモヤしています。ラノベのシリーズは長いからなあ。

作者はどうやらミステリが好きなようで、桐島がミステリ研究部の部長だったり、国内外のミステリ作品のタイトルとその作者の名前が次々と出てきたりします。そして体操服盗難事件の犯人を桐島がサクッと指摘します。
文体は飽くまで簡潔でラノベ特有の、妙に捻くれたような嫌らしさはありません。私の様な文法的に微妙におかしな点が見られる、いささかくどい文章を書く人間にはこうした潔さが憧れの的であります。この人は全くもって羨ましい限りの文才の持ち主なのです。

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