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ミステリの祭典

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しにがみのバラッド。
しにがみのバラッド。シリーズ

作家 ハセガワケイスケ
出版日2003年06月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2022/04/27 22:49登録)
目を覚ますと、少女は死神でした。その少女は、死神でありながら、その真っ白な容姿ゆえに仲間から「変わり者」と呼ばれていました。しかし、少女の持つ巨大な鈍色の鎌は、まさしく死の番人のものです。少女の使命は人間の命を運ぶこと。死を司る黒き使者である少女は、仕え魔のダニエルと共に、人の魂を奪いにいくのです。死を司る少女は、様々な人と出会い、そして別れていきます。哀しくて、やさしいお話。
『BOOK』データベースより。

優しさゆえについつい人間に余計なお節介を焼いてしまう死神モモと、その相棒で黒猫のダニエルの淡い物語。この作品が嫌いと云う人は少ないと思いますが、インパクトに欠ける、心に突き刺さるものが足りないなどの理由であまり評価しない読者もおられるでしょう。私もその一人です。所謂いい話ではあります、でもそこまでで、死という概念に憑りつかれた人々特に少年少女達の心の奥底まで掘り下げられている様には思えません。

文体は飽くまで詩的で、普通に読めば何処か食い足りないものを感じてしまう部分があります。ストーリーに起承転結はあるものの、先の展開が読めてしまったり、オチが見え見えだったりして、その意味では期待を裏切られました。
まあ、連作短編集でありシリーズを通しての秘められた真実などはなさそうなので、一巻ずつ安心して読めるとは思います。その分、次を読み進める推進力には欠ける気がしますが。

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