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ミステリの祭典

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屑の結晶

作家 まさきとしか
出版日2019年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 HORNET
(2022/03/19 23:08登録)
 小野宮楠生(くすお)は、二人の女性を殺害した容疑で逮捕・起訴された。逮捕時に笑顔でピースサインをするさまや「誰を殺そうと俺の自由」というふざけた言動で、一気に世の注目を集め、世間からは「クズ男」と呼ばれる。しかし担当弁護士の宮原貴子は、そんな楠生の言動に何かしらの「腑に落ちない」感覚を覚え、小野宮が幼少期を過ごした宮城県M町へ赴く。すると、今の楠生には似つかわしくない当時の様子が明らかになり……

 はじめは、年増の女たらしの楠生に宮原もたらし込まれて苦悩する展開になるのかと思ったが、そうではなくて安心した。宮原の調査により、楠生がただの「クズ男」ではないことは察せられるのだが、各ピースがどのような真相に辿り着くのかは良い意味でなかなか見通せず、リーダビリティを維持していた。事件関係者である女性が視点人物になる章の挿入の仕方も上手かった。
 ラストはちょっと切ないなぁ。楠生はバカじゃないんだから、葬儀の日のパトカーに乗るシーンも連行じゃないことぐらい分かるのでは?とも思ったが。

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