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ミステリの祭典

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白熱光

作家 グレッグ・イーガン
出版日2013年12月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 糸色女少
(2022/03/15 22:29登録)
奇数章と偶数章で別々の物語が進行し、いずれも舞台は超未来の異質な世界。その世界観を楽しむ事が一つのポイントになる。
奇数章は、冒頭で主人公が「あなたはDNA生まれですか?」と問われるところから始まる。有機的な「生物」として進化した知性も、電子的な情報世界から出た知性も、区別なく暮らす「融合世界」が銀河に広がっており、人々は事実上の不死を謳歌している。ただし銀河中心部には外との連絡を一切拒絶する「孤高世界」が存在する。この謎めいた銀河の核への旅を描く。
偶数章は、ブラックホールの周りを回る岩の中に洞窟を張り巡らせて住む異形の知性の物語。岩の内部からは天体観測できないため、宇宙についての知識は乏しい。力学の概念もない。しかし岩の自転などで生じる重力パターンを観測することから力学の基本概念を発見し、一世代で相対性理論まで至る。地球とは全く違う環境で、知性がいかに物理学をものにするかという点を分厚く描いているので、物理学に詳しいほど楽しめる。
二つの物語が直接合流する終わり方はしないものの、「孤高世界」の起源をめぐって両社は交錯する。謎は謎と残したまま、超絶的なスケールで想像力を喚起してくれる。

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