home

ミステリの祭典

login
動機

作家 清水一行
出版日1980年10月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 斎藤警部
(2022/03/09 06:13登録)
衝撃の、そして謎と疑惑の急襲オープニング! いきなりのクライマックス! もはや結末!.. と思われたが.. 参った、揶揄語として使われがちな『会社派』の本当の神髄、その矜持炸裂!!

中堅都銀(死語!)「本州銀行」の取締役だった男が或る夜、雑誌編集者の男を訪れ、逃げも隠れもせず堂々と殺害、その妻の前で、自ら警察へ通報。

殺人シーンの後、物語は数年前に巻き戻る。 「本州銀行」支店長だった男に、取締役への昇格が内定する。 そこへ高級週刊誌「週刊内外」の編集者という男が面会を求めてやって来る。 編集部に或るただならぬ「投書」が来たと言うのだが。。 さあここから飛沫(しぶき)をあげて一気通貫、暴力的リーダビリティで読者の胸ぐら掴んで引きずり回します。やがて見えて来る、おそるべき爆発ポテンシャル秘めた、補助線ならぬ、たった一つの補助点の存在! コンプライアンスもクソもチ●●スもねえ、とんだショワハラ突貫工事完遂の果て、断固たるエンディング、熱量半端無えラストセンテンス。冒頭の殺人シーンで発せられた「ドラマはこれから始まる」って、そういうコトだったか。。。 時の流れは全てを灌ぐのだろうか。。 タイトル「動機」の深さに思い当たり、拳で膝を殴ります。 目次にストーリーネタバレの精霊が宿っているような気がしたのだが、実はこれ、敢えて晒してたんだねえ。。。

「いや、わたしは・・・・・・」
「それでもこだわるというのか」
「職業だと思うからです」

『著者あとがき』の熱さ、真摯さ、構成の妙の煌めきも刺さりました。

1レコード表示中です 書評