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ミステリの祭典

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ドウエル教授の首

作家 アレクサンドル・ロマノヴィチ・ ベリャーエフ
出版日1958年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2022/02/28 22:55登録)
パリのケルン教授の助手に雇われたマリイは、実験室内の恐ろしい秘密を目の当たりにする。人間の首──それも胴体から切り離された生首が、瞬きしながらじっとこちらを見つめているではないか! それはつい最近死亡した、高名な外科医ドウエル教授の首だった。おりしもパリ市内では不可解な事件が続発していた……。“ロシアのジュール・ヴェルヌ"と呼ばれる著者の傑作長編。訳者あとがき=原卓也
Amazon内容紹介より。

SF、ホラー、スリラー、冒険小説等色んな要素が入り混じってジャンル分けが難しい作品です。思っていたよりも怪奇色が薄く、全く怖くはありません。だからこそジュブナイルとしても翻訳されている訳で、それでも子供の頃に読んだらちょっとしたトラウマになったかも知れません。しかし、本作は1926年に発表されたもの、やはりその時代に書かれた作品としては相当センセーショナルなものだったと言わざるを得ません。その後のソ連の実験を鑑みるに付け、先見の明があったのは間違いないでしょう。その辺りは訳者あとがきに詳しいです。

意外にもストーリー性が豊かで、医学の最先端の技術を基に物語は様々な色を見せます。まあ荒唐無稽というか無茶苦茶な面も多い気がしますが、書かれている事柄はあながち法螺話と決めつける事が出来ない可能性を秘めているのも確かだと思います。一旦死んだ人間の首から上だけを生かし続けるという、神をも恐れぬ行為をどう捉えるかで評価が分かれそうな気がしますね。

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