home

ミステリの祭典

login
推理クイズ ルパンからの挑戦状

作家 草野唯雄/川辺豊三
出版日不明
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 斎藤警部
(2022/02/28 11:33登録)
ある年代の方々には郷愁を誘うかも知れない「学研ユアコースシリーズ」(小学校高学年~中一向け?)の一冊です。
肩慣らしの「ミニクイズ編」以外は比較的ありふれてないネタ中心で、有名推理小説の大トリックを大味にパクったりせず、推理クイズならではの良さを前面に押し出した良心的ジュヴナイルの一冊と言えましょう。

執筆は草野唯雄と川辺豊三の二名ですが、全篇にちりばめられたイラストやら劇画は総勢二十名によるもの。絵柄はヴァラエティに富んでいるけど、全体的にはおどろおどろしい、怖い、又は不気味なイメージ、そこに時折コミカルな味が闖入し、ルパンというよりむしろフェル博士かHM卿でも登場しそうな雰囲気。(ちょっと違うかも..)
出題の合間に「豆知識」みたいなページも挿入されるのですが、『本格もの』日本の代表的作品で「本陣」「刺青」「点と線」に混じってちゃっかり「女相続人」(草野唯雄)が入ってたのは、クスリしました。

各問のタイトルがなかなか面白いので(中には不謹慎なのもありますが・・)記しておきます。 「ミニクイズ編」は除きます。
ルパンの脱獄大予告/超高層ホテル殺人事件/スリラー館は殺しの館/あかりは闇にのまれた/ドッキリ!鼻毛の見える丘/消えた身代金/満腹ラーメンうますぎた!?/願掛け最後の日/殺人タイムは寒い朝/華麗なる記名帳/コールサインは死神を呼ぶ/娘十七、トイレに死んだ、ジャンジャン/白と赤のバラード/カラーテレビでスイマセン/太めのおばちゃん気をつけて!?/松本城だけが知っている/命短しガスシューシュー/時速二百キロのアリバイ/実録・兄弟仁義破滅編/ハイウェイ監禁旅行/パーティに殺意は舞った/九十九点の完全犯罪/夕立のあとさき/松の木はエレジーを運ぶ/倒産を告げた通知音/居直り強盗の落日/朱に染まった昼下がり/水浴もときによりけり/サースガァ、女の直感/両替屋撲殺於寝間/うぬぼれコックが泣いたとさ/海を越えた悪女の執念/コインロッカーは消失ゾーン?/カメラがとらえた死の構図/港町脅迫状は殺意の船出!?/ハイウェイの墓標はくぎ一本/ハガキが語る不在証明/飛び込み自殺で二度死んだ!?

推理小説ではダミートリック等にしか使えないような、だけど推理クイズとしては充分光る小ネタを擁した問題が多いけど、もう一ひねり半すれば堂々短篇ミステリのメイントリックになりそうなのも混じってる。
いい意味で(絵も含めて)印象深いのは、「超高層」「願掛け」「記名帳」「コールサイン」「時速二百キロ」「コインロッカー」「港町脅迫状」あたりかな。 中でも「港町脅迫状殺意の船出!?」の大小アリバイトリックの、郵便を大胆に使った大トリックの方、ちょっと深みがあって良かった。仕立て直せば鮎川短篇ギリ水準作にも匹敵しそう(若干バカトリックの気はあれど)。

1レコード表示中です 書評