home

ミステリの祭典

login
私と悪魔の100の問答

作家 上遠野浩平
出版日2010年10月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2022/02/16 23:02登録)
「いや吾輩は君には全然興味がないけど、世の中の正義にはもっと興味がないから」どん底だった私に、あいつはそう言った。親の事業が失敗して、マスコミに叩かれ、世界のすべてが敵に回っていたときに。助けてもらう代わりに、私はそいつと契約することになった。それは100の質問に答えろっていう意味のわからないもので―追い詰められた少女と、尻尾の掴めない男が出逢うときに生まれる、奇妙で不思議な対話の先に待つものは…。
『BOOK』データベースより。

腹話術の人形?が雑学から心理学、普遍的な物まで色々質問し、主人公の女子高生紅葉がそれに答える、そして更に人形が突っ込むみたいなものの繰り返し。しかし、厳密に答える訳でもなく、スルーと云うか、「分からない」「知らない」で終わったりもします。もっと哲学的な感じかと思いきや、そうでもなく何となく流れで済まされてしまい、あまり深堀されていないのが大いに不満です。
文章が故意にいい加減に書かれているのかと疑いたくなるくらいで、平明なのに逆に読みづらい印象を受けました。真面に書けるのは地の文で明らかなのに、なぜ態々そっちの方向に持って行くかなという気持ちになります。

一応ストーリーらしきものはあります。私としてはそんなものなくても良いから、真面目に討論して欲しかったし、そう云う小説だと信じていたのに裏切られた感を強くしました。
終盤で何やら謎の組織が関係しているのがぼんやりと見えてきますが、それも曖昧なまま終わってしまい、結局何がしたかったのかさっぱり分かりませんでした。
Amazonでは結構な高評価で、それも俄かには信じがたいものであり、何かの間違いであってほしいと願っていたりします。この現実をどう受け止めたら良いのやら、世の中不思議に満ちているなと言うしかありません。

1レコード表示中です 書評