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ミステリの祭典

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麻薬王の弁護士

作家 トッド・メラー
出版日2019年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 モグラの対義語はモゲラ
(2022/02/14 22:33登録)
読んだのは文庫本版。
つまらなくはなかったが、とにかく話が入り組みすぎ。複数の犯罪者の司法取引について話を進めていく上、誰が誰を売るか等でそれらが絡みつつ、周辺の人物も金や名誉を狙って主人公の周りで暗躍し続けるので、厚さや日本とは違う司法制度、麻薬周りの情勢やそれに関わる国の文化、そして翻訳文特有の読みづらさも相まって話が追いづらかった。誰が誰を裏切り、誰の便宜が図られたのか、誰が誰を脅したいのか、幾度となく前のページを読み直すことになった。
ただ規模が広がり密度が高くなり続ける陰謀(論?)とコンゲーム、その中で懸命に「金」の為に頑張る主人公の姿は結構楽しめた。口と下半身の緩さの割に普通に情に厚いのも嫌いではない。というよりこの作品に出てくる人物が、話が話なだけにだいたい非情に見え、相対的に良い奴に見えているだけかもしれない。
ソンブラの正体も意外だった。書き方で完全に騙されたというか油断した。
事実関係と単なる推測が混ざり合う騙し討ちの世界に引きずられ、作者の騙し討ちを正面から受けてしまった。もう少し短くて読みやすてエピソード減らしてくれるとありがたいのだが。

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