恐怖の1ダース 中田耕治編 |
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作家 | アンソロジー(国内編集者) |
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出版日 | 1975年09月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 6点 | 弾十六 | |
(2022/02/12 21:11登録) 1980年8月出版(講談社文庫)。中田耕治軍団と思われる翻訳者たちによるアンソロジー。中田さんと言えば、昔、雑誌「翻訳の世界」で「コージーに翻訳しよう」とかいう連載を楽しく読んだ記憶がある。編者が同じで題名が同じものが1975年出帆社から出ているが、収録作品をリニューアルしている。 以下、初出はFictionMags Index(FMI)によるもの。 (1) If I Should Die Before I Wake by Cornell Woolrich (初出Detective Fiction Weekly 1937-7-3)「たすけてえ!」コーネル・ウールリッチ、中田 耕治 訳: 評価7点 良い翻訳だなあ。子供の語りってとても難しいのだけど難なく処理している。ハック・フィンもこんな感じなら読めるかも。 子供から見た大人の感じが上手く表現されている。ハラハラドキドキの物語。 原文参照出来ませんでした。 p9 五年A組♠️小学生で良いのかな。 p9 飴チョコ… 一コ五セント♠️米国消費者物価指数基準1937/2022(19.52倍)で$1=2226円。飴チョコって何だろう。 p18 色チョークは一箱十セント (2022-2-12記載) ********** (2) The White Road by E. F. Bozman (アンソロジー1939, “Ghost Stories” ed. John Hampden)「白い道」E・F・ボズマン、吉崎 由紀子 訳: 評価6点 作者E. F. Bothmanは本書「あとがき」でも経歴等全く不明と書かれており、FMIにも登録されていない。WEBにも手がかり無し。(2022-2-14修正: ameqlistにE. F. Bothmanと出てたので、こう書いたのだが、正しい綴りはBozman。FMIに本作だけ登録があり、英WikiにはErnest Franklin Bozman (1895–1968) was a British author and the editor of two editions of Everyman’s Encyclopedia.との記述があった。) 舞台はクリスマス・イヴのパブ。元々はクリスマス・ストーリーなのかも。 こういう話は苦手。今市子さんが描く怪奇漫画みたいなネタですねえ。 (2022-2-14記載) ********** (3) Poor Girl by Elizabeth Taylor (アンソロジー1955, “The Third Ghost Book” ed. Cynthia Asquith)「プア・ガール」エリザベス・テイラー、伊東 昌子 訳 もちろん著名女優とは違う1912年生まれの英国作家。 ********** (4) The Riddle by Walter de la Mare (短篇集1923)「謎」ウォルター・デ・ラ・メア、鈴木 説子 訳: 評価5点 不思議な話だが、私には趣旨がわからなかった。諸星大二郎風味。 (2022-2-13記載; 2022-2-19追記) ********** (5) A Haunted Island by Algernon Blackwood (初出The Pall Mall Magazine 1899-4 挿絵L. Raven Hill)「呪われた島」アルジャノン・ブラックウッド、木戸 淳子 訳: 評価7点 道具立てが良いですね。舞台はカナダ。思わせぶり度が程よい感じ。 p128 マーリン・ライフル(Marlin rifle)◆ Marlin Firearmsは1870年創業。このライフルは時代を考えるとレバー・アクションだろう。 (2022-2-19記載) ********** (6) Yuki-Onna by Lafcadio Hearn (短篇集1904)「雪おんな」ラフカディオ・ハーン、中山 伸子 訳 ********** (7) Shock Treatment by Ross Macdonald (初出Manhunt 1953-1 as by Kenneth Millar)「ショック療法」ロス・マクドナルド、中田 耕治 訳: 評価6点 米国マンハント創刊号にケネス・ミラー名義で発表した短篇。 私はロス・マク嫌いなんだけど、こーゆー話を読むとますます好きになれない。なんだかとてもやな奴の臭いがする(読まず嫌いの偏見だろうけれど…)。 p162 家賃… 月300ドル♣️米国消費者物価指数基準1952/2022(10.61倍)で$1=1210円。 p166 古い型のピアース・アロウ♣️Pierce-Arrow Motor Car Company(1865-1938)のV12セダンか。登場時にはデザインが未来的だったようだから、ここでの妻のイメージにぴったり。 (2022-2-13記載) ********** (8) The Tower by Marghanita Laski (アンソロジー1955, “The Third Ghost Book” ed. Cynthia Asquith)「塔」マーガニタ・ラスキー、大村 美根子 訳: 評価7点 この英国作家(1915-1988)の活躍は1940〜1950年代。 舞台はフィレンツェ、美術関係者の妻(英国人)の話。シンプルだが怖い。上手く映像化したら効果抜群だと思う。伊藤潤二先生いかがでしょうか。 (2022-2-23記載) ********** (9) The Mystery of the Derelict by William Hope Hodgson (初出The Story-teller 1907-7)「幽霊船の謎」ウィリアム・ホープ・ホジスン、杉崎 和子 訳 サルガッソー海もの。 ********** (10) Terror Over Hollywood by Robert Bloch (初出Fantastic Universe 1957-6)「ハリウッドの恐怖」ロバート・ブロック、中田 えりか 訳: 評価4点 翻訳者は耕治さんの娘。本作はハリウッド小説というジャンルを紹介する、という編者の意向のようだ。 話自体は作者お得意の深みのないもの。想像力がチャチで薄っぺらい。 (2022-2-13記載) ********** (11) Explorers We by Philip K. Dick (初出The Magazine of Fantasy and Science Fiction 1959-1)「探検隊帰る」フィリップ・K・ディック、中田 耕治 訳: 評価8点 SFマガジン創刊号に載った作品。この翻訳は「福島正実の思い出に」捧げられている。 傑作ですね。そして怖い。 (2022-2-12記載) |