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ミステリの祭典

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魔境物語

作家 山田正紀
出版日1983年01月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 虫暮部
(2022/01/30 12:08登録)
 光風社版、天野喜孝の美麗表紙が素敵。
 山田正紀のこの時期の冒険小説系作品は “はみだし者達の即席チーム、無謀な道行” ばかりなのだが、「まぼろしの門」はその中でも最高位に置くべき逸品。孝平がいるからこそ嘉兵衛のキャラクターが生きる構造に仏教を上手く絡めて、ラストシーンではもう泣きそう。
 「アマゾンの怪物」も、パターン通りではあるが作品の水準として劣るものではない。全員に裏がある省エネ設定?
 ただ、中編2編収録と言うなんとも中途半端なパッケージが、山田正紀作品リストの中で本書の存在感を妙に薄くしているように思える。せめてもう1編あれば……もしかして “魔境” テーマでシリーズ化するつもりが頓挫したのだろうか。

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