home

ミステリの祭典

login
ピンクのおもちゃネコ殺人事件

作家 ルディー和子
出版日1989年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 フェノーメノ
(2022/01/22 21:57登録)
1989年講談社ノベルス刊。
今現在、このサイトでは唯一の「る」から始まる国内作家。ちなみになぜルディーかというと欧米人と結婚したからです。

著者のルディー和子はマーケティング評論家でそっち方面の書籍を多々出しているが、おそらく唯一の推理小説が本作。
「非情の企業を描く」とかいうあらすじの文句や著者の肩書きからすると、いかにもお堅い経済小説を書きそうだが実際にはマーケティング論的な話はほとんどなく、肩の凝らない昔ながらの推理小説になっています。ライトなキャラクターや軽妙なやりとりには初期の我孫子武丸を彷彿度させる雰囲気があります。

次々届く謎の脅迫状という事件の発端は面白いですし、香水がかけられた死体の謎への解答もそこそこ。犯人特定のロジックもシンプルながら納得感はありますし、探偵という存在へのアプローチの仕方も時代を考えると先見性があると思います。
ただ長編を支えるには全体的にアイデア不足の感が否めず、入手難易度を考えると、隠れた佳品と呼ぶには何かが足りないようにも思います。

1レコード表示中です 書評