きみがいた世界は完璧でした、が |
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作家 | 渡辺優 |
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出版日 | 2021年03月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 5点 | 人並由真 | |
(2022/01/22 07:11登録) (ネタバレなし) 「俺」ことゲームヲタクの青年・日野春人は、工学部情報工学科の大学二年生。太目で冴えない外観だが、笑顔には自信がある。そんな日野は、所属するサバイバルゲームの新部員となった後輩・宮城絵茉(「エマ」)に心を奪われてしまう。エマはセミプロでサバゲー雑誌のモデルなどもする美人で、そして日野の好きな異世界ファンタジーゲームのヒロインにそっくりだったからだ。エマに二回も告白しては玉砕する日野だが、そんな彼はエマのSNS周辺に出没する謎のストーカーの気配を認めた。日野は友人たちの力も借りて、そのストーカーの正体を暴こうとするが。 6年前の処女作『ラメルノエリキサ』以来、久々にこの著者の作品を読んだ。今回は処女作以上に普通の青春ミステリっぽいが、とりあえずは謎のストーカー探しのフーダニット? の謎? と、何か事態の奥にあるのであろう主題またはメッセージを探りながら読み進める。 ……しかしながら、最後まで読むと存外に他愛ない話で、最後のサプライズ? も、はあ、そんなもんですか、という感触。ただもしかしたら、そこがこの作品の肝だと、作者の方は思ってるのかもしれない。 でもこれって、例えるなら、タイトルマッチを喧伝したボクシング試合に観客を集めておいて、いざゴングが鳴りかけた瞬間に一方の選手がリングから駆け下りてそのまま逃亡し、どうです、滅多に見られないモノを見られたでしょうと、事態をお膳立てしていたプロモーターが得意がっているような、そんな感じの作品でもあった。まあいいけど(←よくねーよ)。 ただまあ、一流半~二流の青春小説と思って読むならば、ソコソコ嫌いではない。まあマトモなミステリと思って読まないことだけは、オススメする。 |