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ミステリの祭典

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愛さずにはいられない

作家 生島治郎
出版日1967年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 斎藤警部
(2022/01/19 01:29登録)
血が足りない/ブルー・ムーン/最後の賭け/夜も昼も/夜の腐臭/夜の証言/氷の城/愛さずにはいられない (旺文社文庫)

感触はだいたい湿潤ハードボイルド。 最初の三篇、物語自体もさることながら、人間描写的な部分に、割り切らないゴテッとした余りやら、隠してあからさまにしない要素を残して終わる質感が、後を引く。愚連隊にヤクザ者、ちょいと心が動く不如意の人生ドラマ。特に一作目の’こども’はなあ。。。  続く「夜シリーズ」?三連打は、ヒネリ淡く結末直行の悲劇や、気色悪いチャンチャン話など続くが、どの作もミステリ性あるいは人情ドラマのどちらかにもう少し力を籠めればグッと来そうな所、惜しい。 ラス前「氷の城」は大麻商売の話。軽薄な発端からは予想も付かない重く怖い(ちょぃとポゥを思わせる)結末にやられた。 最後の表題作はやや異色。ヒロインは売り出し中の作詞家。もっともミステリ色濃くサスペンスフルに進行するが、真相がちょっと、現在の感覚だと(不謹慎かも知れないが)トンデモ方面に流れたか。「イリ◯◯◯」って何だよ。。 でもまあ、総じて愉しい、ごたまぜ通俗短篇集でしたよ。

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