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ミステリの祭典

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ヴァンパイヤー戦争1 吸血神ヴァーオゥの復活
コムレサーガ

作家 笠井潔
出版日1982年01月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 クリスティ再読
(2022/01/08 21:44登録)
評者昔このシリーズはリアルタイムで追っかけた。あの笠井潔の伝奇SFなんだから...まあ、完結したら売っちゃったけども。

実際、矢吹駆の最初の2作が「転向小説」であることは誰も否定のしようのないことなんだけども、時系列だとその次の小説がコレになる。笠井潔ってどういう作家なのか、を理解するためには絶対に外せない本だと思うから、取り上げます。
つまり、矢吹駆の2作で肩の荷を下ろしたところで、「自分がなりたかった」理想イメージを投入して書いたのが本作だと思ってる。あからさまに作り物の伝奇ヒーローだからこそ、逆に衒わずに思った通り、感じた通りで書けているというのが、この本のいいところ。この人「仮面をかぶった方のが自分が素直に出せる」というタイプなんだね。だから、楽しんで書いているのが如実に伝わる本になっている。
...九鬼鴻三郎が日本に残した都市ゲリラ組織「矮人部隊(リリパット・アーミー)」が使い捨ての捨て駒で、吸血姫のラミアに抱かれて復活する、というあたり図式的といえばその通りで、自己解放がもつある種の「臆面のなさ」が妙に憎めない。なんか晴れやかなんだもん。そういうあたりにちょっと「アテられる」小説だ。このシリーズでも1巻目はやはり別格、ということだよね。

(けどさ、おミソな男ヒーローが頑張るけど、ヒロインが無双して全部持ってく、果てしなくループしまくる物語って....なんか「3×3 EYES」と妙にカブる印象を昔から持っている。2巻目以降はやるかどうか、知らない)

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