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ミステリの祭典

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黒き瞳の肖像画(ポートレート)

作家 ドリス・マイルズ・ディズニー
出版日2021年08月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 人並由真
(2022/01/06 21:47登録)
(ネタバレなし)
 第二次世界大戦直後、アメリカのイリノイ州で、生涯、独身を貫いた資産家の老女が莫大な財産を遺して死亡した。親族である26歳の娘スーザン・ローデンは、名付け親の弁護士で遺産管理人であるデイヴィッド・オリヴァーに頼まれて故人の遺品を整理するうちに、死亡した大叔母ハリエット・ローデンが青春時代から綴ってきた日記を14冊発見。なぜか最後まで親族たちに距離をとり続けた大叔母の、その心の奥底に迫るが。

 1946年のアメリカ作品。
 Twitterの噂で、評判がいいので読んでみた。

 物語の本筋のひとつといえる日記の内容は、1877年、15歳の少女時代のハリエットが同名の親族で資産家のハリエット伯母さんのもとに来るところから開幕。その直後、ハンサムな青年軍人ロジャー・デヴィットと相思相愛の恋に落ちたのち、彼女なりに劇的な、そして相応に流転の人生を送っていくさまが綴られている。
 19~20世紀をまたいで、変遷する世相を適度に織り込んだ大衆小説(通俗小説)メロドラマ、人間ドラマとしてグイグイ読ませるが、はて、これがミステリの叢書(論創海外ミステリ)として刊行されたのは? と軽い不審を抱きながら、終盤のページまで行くと……。
 
 ああ、そういうことね、と了解。ここであんまり語らない方がいい作品で、良い意味で、主軸のオハナシ(日記の中のメインヒロインの流転劇)を素の状態で読むことをオススメする。ハマる人にはハマるであろう。
 まあ(中略)。

 ラストのまとめ方(最後の2行)が、昭和~平成の某国内ミステリ作家がよくやるクロージングの演出みたいで、ちょっと笑った。

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