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ミステリの祭典

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書楼弔堂 炎昼
書舗・書楼弔堂シリーズ

作家 京極夏彦
出版日2016年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2021/12/30 23:21登録)
明治三十年代初頭。人気のない道を歩きながら考えを巡らせていた女学生の塔子は、道中、松岡と田山と名乗る二人の男と出会う。彼らは幻の書店を探していて―。迷える人々を導く書舗、書楼弔堂。田山花袋、平塚らいてう、乃木希典など、後の世に名を残す人々は、出会った本の中に何を見出すのか?移ろいゆく時代を生きる人々の姿、文化模様を浮かび上がらせる、シリーズ待望の第二弾!
『BOOK』データベースより。

力強い言葉、優しい言葉、そしてそれらを組み合わせ繋ぐ文章の、なんと素晴らしい事か。そこはかとなく漂う香気すら感じさせる筆力は見事の一言に尽きます。並みの作家が書いたならこんな作品にはならなかったと思います。逆に言えばそれだけ内容は人の心の中に踏み込んではいるものの、決して派手なものでは無いという事になります。

前作同様明治の苦悩を抱えた偉人、著名人が次々と風景の中に紛れ込んでうっかりすると見逃してしまいそうな灯台に似た書楼弔堂に訪れ、其処の主人と対峙します。今回の語り手は現実から逃避したい女学生の塔子の連作短編集。遂に明かされる書楼の主人の名前、どこかしら京極堂を彷彿とさせるこの人物の一言一言の重みは恐ろしい程の凄みがあり、ラストの長広舌は正に読み応え十分で、色々考えさせられるものがありました。
点数は6点ですが、気持ちは7点です。私が文学に通じていればもっと評価は高かったかも知れませんね。

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