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ミステリの祭典

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逡巡の二十秒と悔恨の二十年

作家 小林泰三
出版日2021年10月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 8点 ミステリーオタク
(2022/06/29 21:49登録)
 今頃になって初めてこの作者の本を読んでみた。
 10の作品が収録された短編集。

《玩具》
 何これ・・・まあここまでベチョベチョグチャグチャに突っ走ればある意味立派。最後の一行は普通驚くよね。

《逡巡の二十秒と悔恨の二十年》
 う~ん、そう来たか。類似例がないわけではないが、これはこれでかなりエグい。

《侵略の時》
 非常に珍妙な発想の侵略モノ。最後の方で「人間の存在」に関する意味論が少しだけ展開されるが、エンディングは自分もウンザリした。

《イチゴンさん》
 民俗信仰系の・・・何だろう、これは。バカホラーか?

《草食の楽園》
 平和と種族間闘争に関する文明論がテーマの未来の物語だと思うが、この話は好きではない。ふとロバート・ジェクリイの短編を思い出したが、最後の男は誰なんだ?

《メリイさん》
 これはお化け噺の落語。オチは○□く◇△ん▽。

《流れの果て》
 よく分からん話だが短いから許せる。「無量大数」を越える数字の単位が興味深かったが「アレフ」なんてあったっけ?

《食用人》
 前半はふざけすぎで抱腹絶倒。後半は文字どおり食傷気味。

《吹雪の朝》
 ツカミは好みではない感じだったが、途中からどんどん好きな展開になっていき、間違いなく本書内のマイベスト。事件後の延々と続く議論はもたついた感じも少なからず受けたし、決め手が専門知識なのもちょっとどうかと思われるかもしれないが、それでも巧妙な作りは色褪せない。この作者はこんな冴えたミステリも書けるのか、いや書けたのかと少し意外な気がした。

《サロゲート・マザー》
 代理出産と家畜の伝染病を題材にした、悲壮で濃密な生命の物語だが・・・これもマイベスト。


いやぁ~、よくもこんなにもバラエティーに富んだ異様な話をこんなにも思いつくもんだ。
亡くなった方を誹謗するつもりなど毛頭ないが、まともな精神状態の人が書いた作品集とは思えない。天才と何か。紙一重の共存。
新作はもう出ないけどまだまだ楽しませてもらおうと思う。
新作出たりして。

No.1 7点 虫暮部
(2021/12/24 12:13登録)
 「吹雪の朝」は、クローズド・サークルものに見せかけて実は××+××のミステリ。「侵略の時」「サロゲート・マザー」は作者ならではの哲学的で論理的な狂笑SF。「食用人」、このネタでここまでやった例は初めて読んだ。「メリイさん」は以前にも書いたネタだろ!

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