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ミステリの祭典

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断崖は見ていた
ウィントリンガム医師、ミッチェル警部

作家 ジョセフィン・ベル
出版日2005年03月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2016/05/08 15:01登録)
(ネタバレなしです) ジョセフィン・ベル(1897-1987)はニコラス・ブレイクやマイケル・イネスとほぼ同時代に活躍した英国の女性作家で、ウィントリンガム医師とミッチェル警部を探偵役にしたシリーズを中心に40冊以上のミステリーを書いています。CWA(英国推理作家協会)の会長を務めたこともあり、当時の英国ミステリー界ではそれなりの重鎮だったようです。ベルには純粋なサスペンス小説の作品も多いようですが、1938年に書かれたシリーズ第3作の本書は本格派推理小説の代表作とされています。途中はやや単調でサスペンスに乏しいし謎解きとしてもそれほど凝ってはいませんが、最終章ではちょっとした驚きの結末が用意してあります(クリスティーの某作品を先取りしたようなアイデア)。ウィントリンガムとミッチェル警部双方に花を持たせるプロットも上手く処理されています。ウィントリンガムと家族との交流シーンが多く描かれているのが本格派黄金時代の作品としては珍しいように思えます。

No.1 6点 mini
(2008/10/14 11:13登録)
論創から出たときは評価は低かったみたいだが、それほど悪くない作品だと思うので積極的に擁護しておきたい
内容は過去のいくつかの出来事に関してそれぞれの地方へ調査に赴く行程が中心である
この現地調査の部分は地味だが風景描写も良く飽きずに読める
物語全体に仕掛けられた謎の真相は頭の働く人なら簡単に見破れるだろうが、上手く書けていると思う
短編でこの仕掛けを書くのは難しく、長編ならではのネタだ
過去の事件への現地調査という設定が活かされている

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