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ミステリの祭典

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半沢直樹 アルルカンと道化師
半沢直樹

作家 池井戸潤
出版日2020年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 E-BANKER
(2021/12/20 20:28登録)
正式には『半沢直樹 アルルカンと道化師』である。なお、「アルルカン」とはピエロとともに伝統的なイタリア喜劇に登場する人気のキャラクターとのこと。
で、あの半沢直樹シリーズの最新刊である。さあ、今回も「倍返し」は成功するのか? 顔芸の方々は出てくるのか? 2020年の発表。

~東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとに、とある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが業績低迷中の美術系出版社・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後に潜む秘密の存在に気付く。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢が辿り着いた驚愕の真相とは?~

皆さん、ご安心ください。
今回も「倍返し」は成功します。もしかしたら、過去最高にスカッとする「倍返し」かもしれません。
すべての営業拠点が集まる会議の中で、半沢直樹がそれまで散々煮え湯を飲まされたいやーな相手を完膚なきまでに糾弾する! サラリーマンなら分かるでしょうが、こんなスカッとすることはありません。
日本中の皆さんが狂喜乱舞した地上波のドラマ「半沢直樹」。あんな社会現象とまでなったシリーズの最新作だから、さぞかし作者にもストレスがかかったでしょうけど、そんなことは露ほども出さずいつもどおり。
半沢直樹は常に正しい判断をし、敵役の本部の面々は時代劇の悪役さながら悪事に身を染めていく。
まさに作者独特の「勧善懲悪」ストーリー。

時系列でいうと、前作(「銀翼のイカロス」)よりもやや昔、半沢直樹の大阪時代のお話。シリーズの序盤に戻ったような設定になっている。帯には「探偵半沢 絵画の謎に挑む」とあり、まるで本当のミステリー作品のように煽っていますが、そこまでのものではない。でも、真相に辿り着いた半沢直樹は・・・なかなかに粋な解決を図ります。その辺は「倍返し」とともに、本作の後味の良さを引き立てているでしょう。
やっぱり旨いですよ。作者は。もう、さすがのストーリーテラーぶり。読者の機微というものをよーく分かっていらっしゃる。敬意を表すしかありません。
またすぐにドラマ化されるんだろうなー。でも、本作は顔芸なんかでごまかさない方がいいと思うなぁー
(個人的に一番刺された台詞。半沢の部下である南田が言った「どうすれば生き残れるのか、中小企業の経営っていうのはいつだって迷いの連続なんだよ。それに寄りそうのが我々の仕事だ」。その通り)

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