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ミステリの祭典

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小説スパイラル 推理の絆4 幸福の終わり、終わりの幸福
小説スパイラル

作家 城平京
出版日2004年03月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2021/12/17 23:05登録)
小日向くるみは鳴海清隆との推理対決に勝てずじまい。そこに羽丘まどかや清隆の弟・歩の想いもからまり、新たな事件へ!折り紙と競馬による鉄壁のアリバイを崩しにかかるくるみだが、思いもよらない難題にぶつかり、歩のサポートを得ることに…。歩の推理は?くるみの勝敗は?そして清隆が最後にみせる切り札とは?ガンガンNET掲載の前哨戦二編も収録し、「スパイラル」外伝、ここに完結。
『BOOK』データベースより。

短編二作、特に『近況報告』は頭部四肢を切断された死体の胃の中から電話番号が書かれた紙片が発見されるという、なかなかの謎めいた滑り出しですが、意外とあっさり解決してしまう、ちょっと残念な作品です。もう少し引っ張ってもいいのにと思わないでもありません。

そして外伝最後の作品は三人の探偵が激突する魅惑的な内容。警視庁捜査一課の名探偵と言われる鳴海清隆、鳴海の弟で本編で探偵役として活躍してきた歩12歳、清隆と婚約するように祖父からゴリ押しされて、それに必死に抵抗して推理合戦に勝とうと躍起な16歳のお嬢様くるみ。果たして彼らの勝負の行方とは?というとても楽しみな謎解き合戦が繰り広げられます。
シリーズの終幕としては、アリバイ崩しをロジックで攻めまくるというちょっと地味な展開ではありますが、それなりに読み応えはあります。要するに手品の種明かし的な印象で、やや拍子抜けの感は否めませんが、意外な盲点を突いてきてなるほどと納得。
三人の対決は結局誰が最も優れていたのかとの命題よりも、それぞれの個性を発揮して丁度良い具合に収束させて、これで良かったんだなと思える結末ではありました。

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