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ミステリの祭典

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鉄槌

作家 高田侑
出版日2007年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 猫サーカス
(2021/11/17 18:13登録)
母と子の凄まじい愛憎が絡んだサスペンス。ある日、洋介のもとに兄の大輔から「父が倒れた」という知らせが入った。病院に着いた時、既に父親は死亡していた。姉を含む三人兄弟の母親春子は、二十年前に失踪したまま音信不通。居場所に探し当てた大輔は、記憶とはかけ離れた年老いた女を見つけた。やがてその母は愛人らしき男とともに、まるで鬼婆のごとく、兄弟を苦しめていく。大輔が妖艶なうなぎ屋の女将に惑わされるさまが冒頭に描かれているなど、全編にわたって独特の色気と笑いにあふれている。官能とブラックユーモアに満ちた兄弟それぞれの奇矯な日常に目を離せなくなる。後半から恐怖の展開が強まり、登場人物たちの表裏や、それぞれの身から出たさびのようなトラブルがますます深い混迷と悪夢を呼び込んでいく。実に刺激の強い一冊。

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