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ミステリの祭典

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瀬戸内を渡る死者

作家 津村秀介
出版日1985年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2021/11/10 06:06登録)
(ネタバレなしです) 1985年に発表された、シリーズ探偵の登場しない本格派推理小説です。四国で発見された死体と東京にいたと主張する容疑者のアリバイ崩しの作品で、まだ瀬戸大橋が完成されていない時代なので本州から四国へ列車だけで渡る手段は当然検討されていませんが特に違和感は感じませんでした。軽薄で場当たり的な思考しかしないように見える容疑者のアリバイを捜査側も簡単に見破れると甘く見ていますが、何度も崩したかと思うと新たな壁が立ちふさがるかの如くアリバイが補強されてしまって焦りの色を濃くしていく展開はアリバイ崩しの醍醐味でしょう。もっとも性格が大雑把な私は緻密なアリバイ崩しが苦手であまりそれを楽しめず、むしろアガサ・クリスティーの某作品とルース・レンデルの某作品のアイデアを融合したようなトリックの方が印象に残りました。

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