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ミステリの祭典

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インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー
エドワード・ターナー三部作

作家 皆川博子
出版日2021年06月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 猫サーカス
(2024/02/04 18:26登録)
十八世紀の英国を舞台に解剖教室のメンバーたちの活躍を描いた「開かせていただき光栄です」、「アルモニカ・ディアボリカ」の続編。新大陸の入植者たちは、イギリスからの独立を目指す愛国派と、植民地維持を支持する国王派に分かれ、激しい戦いが繰り広げられていた。弱小新聞記者のロディはある有力者に頼まれ、収監中の囚人のもとを訪れる。なぜ彼が大地主の息子アシュリー・アーデンを殺したのかを訊くために。ロディの手元にはアシュリーが残した手記があった。だがそれを読んだ英国補給隊隊員のエドワード・ターナーは、手記におかしな点があることに気付くのだ。対立する両派だが、頭にあるのは自分たちの利益のみで、先住民の存在など歯牙にもかけようとしない。有力者の息子ということで、あからさまな差別は受けないが常に侮られ、モホークの文化を愛しながら白人社会の文明からも逃れられないアシュリー。何が真実で何が虚偽なのか、複雑な心情を抱いているアシュリーの信頼できない手記を介して、アメリカ独立という美名に隠されたおぞましい一面を、謎解きと共に浮かび上がらせる。繊細にしてダイナミックな物語である。

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