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ミステリの祭典

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阿蘇安徳伝説の殺人
滝連太郎シリーズ

作家 山村正夫
出版日1990年11月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2021/10/24 16:55登録)
(ネタバレなしです) 「火の里の陵」というサブタイトルを持つ、1990年発表の滝連太郎シリーズ第6作の本格派推理小説です。第2章でジョセフィン・テイの「時の娘」(1951年)と高木彬光の「成吉思汗の秘密」(1958年)が引用されており、盲腸炎で入院した滝に「安楽椅子探偵による歴史の謎解き」を挑戦させています。作者はそこに現代の殺人事件を融合させる新形式に意欲が沸いたとコメントしており、本書は高田崇史のQEDシリーズの先駆と評価してもよいように思います。歴史の謎解きは壇ノ浦の戦い(1185年)で水死したとされる安徳天皇が生き延びたという伝説で、過去の文献を基に滝に推理させていますが武見香代子とのユーモアたっぷりの議論のおかげでこの種のものとしては読みやすく仕上がっています。現代の謎解きは性的暴行を受けた少女が崖から身投げして死んだ悲劇に端を発したと思われる死体なき殺人(血痕を残して行方不明)を扱っていますが、こちらは滝の推理は必要なかったのではと思わせるほどの杜撰すぎる犯行で、せっかくの新形式の謎解きですが空回りしている印象です。

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