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ミステリの祭典

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月見月理解の探偵殺人2
月見月理解

作家 明月千里
出版日2010年04月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 人並由真
(2021/10/02 05:32登録)
(ネタバレなし)
 「僕」こと高校二年生の都築初(うい)は、副部長を務める校内の放送部に、1年生の入部希望者を迎える。彼女、星霧交喙(ほしぎりいすか)は、初の妹・遥香の級友だったが、その交喙は、先に初の父親を自殺に追い込んだ人物を知っていると告げた。そしてそれは他ならぬ交喙当人の姉・花鶏(あとり)だが、彼女は現在、行方不明。そしてその交喙こそ、悪意と興味の赴くままに他人や組織の内情を探り、関係者を破滅に導く、変幻自在の変装能力を持つ人物「ドッペルゲンガー」だという。そんな交喙は、妹の交喙にとってもまた、親友を殺害した仇であり、交喙は初にともに「ドッペルゲンガー」の抹殺を提案する。当惑しながらも現実に向かい合おうとする初だが、そんな彼の前にあの「月見月家の探偵」こと性悪の美少女、月見月理解が現れた。

 シリーズ第二弾。
 理解に対抗する新ヒロイン、交喙の登場編で、ジャケットカバーの長い髪の美少女が彼女。少なくとも本作では完全にメインヒロインで、タイトルロールの理解のお株を奪っている。
 
 変幻自在、もしかしたらスーパーナチュラルなレベルでの変身能力を持つ? ドッペルゲンガーは誰なのか(誰に化けているのか)、そもそも……?
 ……というのが大きな謎の興味だが、中盤からクローズドサークル的な状況(特殊施設)の中で、本作独自のゲームルールに基づいた生き残り脱出ゲームも展開。そこではさらに、異常な連続殺人劇が展開されてゆく。

 かなり込み入ったオリジナルルールでの作中ゲームにはついていく(理解する)のがやっとで、最後の方になるともう思考も放棄してストーリーの流れだけをどうにか追った。ガッツがあり、オツムに自信のある方は、挑戦してみればいいかも?

 それで終盤の二転三転のサプライズ&ロジックの積み重ねは、う・うむむ……(ため息&冷や汗)という感じでまっこと圧倒されたが、コレは新本格の幅広い裾野の中でもグレイゾーンというか、反則ぎりぎりのギミックかもしれない。というか、こういう種類の作品じゃなければとても許されないね。
 ある意味では、作者の狙いと作品の形質がしっかり合致している。
 しかし例によって、ラストでの初くん……(以下略)。

 ちなみに前作(シリーズ第一作)を読み終えたあとは、なるべく早くこの2冊目を読むつもりだったんだけれど、気が付くと3年以上経っていた(汗)。
 次(シリーズ3冊目)はもうちょっと早めに手に取りたい。まあしばらくは、お腹いっぱいだろうけど(汗・笑)。

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