エデンの妙薬 |
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作家 | ジョン・ラング |
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出版日 | 1974年01月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 6点 | 人並由真 | |
(2021/09/30 19:28登録) (ネタバレなし) 1968年のロスアンジェルス。大手「メモリアル病院」の28歳の内科医ロジャー・クラークは、暴走族の急患アーサー・ルイスこと「リトル・キリスト」の尿が青色だと知って驚く。原因は不明で、クラークは同僚や他の病院と臨床例の情報交換を行うが、真相は曖昧だった。そんな騒ぎのなか、新人女優で人気が出始めた21歳のシャロン・ワイルダーがクラークの患者となり、彼女もまた青い尿を排出する。シャロンが別の病院で服用した薬物に手掛かりが? と見当をつけたクラークは独自の調査を進行。だがそんなクラークを待っていたのは悪夢の迷宮のような現実だった。 1970年のアメリカ作品。 マイクル(マイケル)・クライトンのラング名義での第6長編。 評者はラング名義の作品はこれで4冊目だが、それぞれ一応の面白さは担保しながら各作の方向性や作りはバラバラで、掴みどころがない。広義のスリラーという共通項もあるが。 本作では青年主人公のクラークが、ファム・ファタール的なヒロインのシャロンと会ったあたりから流れが転調。さらにうさんくさい組織との接触を経て、蟻地獄にはまるように、立場を転落させていく。後半にはクライトン名義の『ターミナル・マン』の筋立てを裏側から語るような趣の展開も披露。 なんというか暗闇の出口が見えない迷宮の中を徘徊するような気分は、チェイスかボワロー&ナルスジャック、それぞれの一部の作品に通じる息苦しさであった。 ラング(クライトン)が、こういう種類のダークトーンの物語を書くとはね。 ラストの組み立てについてはもちろんここでは書かないが、余韻がある一方で息苦しさが抜けず呼吸が整わないまま放り出されるような気分で、かなり独特な後味。 多才な作家の実験的な小説としては、その意味で成功しているのかもしれない。 佳作~秀作未満。 |