home

ミステリの祭典

login
ヒポクラテスの悔恨
「ヒポクラテス」シリーズ

作家 中山七里
出版日2021年05月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 HORNET
(2021/09/26 17:27登録)
 斯界の権威・浦和医大法医学教室の光崎藤次郎教授がテレビ番組に出演。歯に衣着せぬいつもの物言いで、司法解剖についての現状を痛烈に批判した。すると、ネットを介してある犯行予告が届く。「あなたの死体の声を聞く耳とやらを試させてもらう。自然死にしか見えない形で一人、人を殺す」―疑わしい案件を全て解剖に回す羽目になった埼玉県警は大わらわ。果たして光崎はこの犯行を見抜けるのか―?

 相変わらず無駄なく、とはいえ物語性も損なわない絶妙のストーリーテーリング。氏は小説の執筆にあたって取材活動等は一切行わないそうなのだが、それでなぜこのような専門的な題材を克明に描写できるのか、本当に不思議(ご本人はこれまで読んだ膨大な書籍と、映画鑑賞とですべて賄えるとおっしゃっていた)
 連作短編の形になっており、全編を通して最後はネットで犯罪予告をした犯人解明に辿り着くのだが、登場人物が限られていることもあってその予想はだいたいついてしまう。しかしながら事件を事故に見せかける「ハウダニット」の解明部分が本作(本シリーズ)の幹なので、そのことによって魅力は損なわれない。
 光崎教授、キャシー、古手川のキャラクター造形の上手さが、飽きさせないシリーズとして続く大きな要因になっていると感じる。「御子柴シリーズ」と並ぶくらい、安定的に高いクオリティを提供してくれる。

1レコード表示中です 書評