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ミステリの祭典

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月は無慈悲な夜の女王

作家 ロバート・A・ハインライン
出版日1969年04月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 虫暮部
(2024/03/09 13:57登録)
 ハインラインは本作を書いたら左に転向したと言われた。さもありなん。
 “ヒューゴー賞受賞に輝くハインライン渾身の傑作SF巨編!” なんだけど、この “巨編” がネック。

 細かなエピソードを並べて大きな物語を進行させる構成。これだけ多くのエピソードの全てが絶品とは行かないのは仕方ないが、結果的に物語全体の進行が何とも歯痒く感じられた。
 革命思想や技術的情報の詳細は、どの程度なら斜め読みしても平気なんだろうか? 登場人物にお気に入りを見出せなかったのも痛い。

 決して “正義の戦い” ではない。規格外の存在であるマイクは置いておいても、色々ズルい手は使うし、必要に応じて語り手も(直接)人を殺している。と言うか、その件が目立って見えるのは、大々的な流血革命だけど首脳部を中心に描かれているので個々人としての死はあまり表面に出て来ないからだ。
 視点によって物事の見え方が随分変わる、と言う意味で非常に示唆的な戦争小説である。マイクが独断で動くのは、現在読むと甚だ危なっかしいな~。

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