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ミステリの祭典

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読んではいけない殺人事件

作家 椙本孝思
出版日2018年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2021/09/19 23:07登録)
他人の心が読める「読心スマホ」の力を持った美島冬華は、勤務先の後輩で学生時代から仲の良い阿南十萌からストーカー被害の相談を受けた。犯人は社員の瓜野道貴課長だという。同期の沖田悠人の協力もあり、一度は解決の兆しを見た事件だが、冬華が覗いた瓜野の心の中には、決して見逃すことのできない驚愕の「記憶」が映し出されており―!?傑作サイコミステリー!
『BOOK』データベースより。

何ですかこの吸引力満点のタイトルは。禁断の書が出てくるとか、この小説自体を読んだら何かが起こるみたいなメタなやつかと思いましたが、全然違いました。いずれにしても興味を惹かれる事は間違いないですね。
事件のきっかけはストーカーに悩む主人公冬華の後輩。そこから連鎖的に殺人事件が冬華を襲い、何が起こっているのかさっぱり読めません。犯人の意図は?被害者のミッシングリンクはあるのか?など、様々な問題が読者の前に提出され、なかなか事件の全容が掴めずもどかしさで一杯になります。

本格というよりサスペンスの様相を呈していますが、中身はミステリですね。人の心が読めるという設定はありがちですが、ファンタジーに逃げず真面な推理小説にまで持って行ったのは作者の力量だと思います。
ただ終盤どうにも腑に落ちない箇所がありました。書き手の都合でそうなってしまったのか、単なるケアレスミスなのか分かりませんが、それはないんじゃないのと大いに疑問に感じました。まあそれも含めてこの点数なので、十分楽しめたとは言えるでしょう。

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