home

ミステリの祭典

login
追越禁止
夜明日出夫シリーズ 旧題「夢心地の反乱」

作家 笹沢左保
出版日1991年11月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2021/09/21 07:09登録)
(ネタバレなしです) 1990年から1991年にかけて「夢心地の反乱」というタイトルで新聞連載され、1991年に「追越禁止」に改題されて単行本出版された夜明日出夫シリーズ第5作の本格派推理小説です。内容的には旧題の方がしっくり来ます。認知症を患っていると思われる老婦人が登場して関係者たちが振り回されます(作中では認知症の代わりにボケとか痴呆症とかの用語が使われていますが書かれた時代を考慮するとこれは仕方ないでしょう)。奇行を繰り返す一方で頭脳明晰としか思えないような言動もあり、本当に認知症なのかそれとも認知症を偽装しているのか夜明も迷い、ユーモアミステリーではありませんけどどこか珍道中の雰囲気があります。ミステリーとして面白いかは微妙ですが、フーダニット(犯人当て)のお決まりパターンにはまらない謎解きプロットが風変わりで、夜明自身の個人問題が解決に寄与するというのが印象的です。最後は果たしてハッピーエンドなのか疑問の幕引きですけど、第三者的立場の夜明にはあれ以上はどうしようもできないでしょうね。

1レコード表示中です 書評