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ミステリの祭典

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クルーザー殺人事件

作家 草野唯雄
出版日1985年05月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 人並由真
(2024/03/03 05:54登録)
(ネタバレなし)
 その年の五月二十四日の早朝。三浦半島は油壷のきつね浜の沖合で、豪華クルーザー「朝日号」が出火した。火元のキャビンは外から施錠されており、中からは焼死した男女の死体と、時限発火装置らしい物品の痕跡が見つかる。被害者の片方は数十億の資産を持つ元不動産業者で、捜査陣はやがて最重要容疑者と思しき人物に目星をつけるが。

 角川文庫版で読了。

 会話が多い上に活字の級数も大き目で、リーダビリティは最強。スラスラ読める。重要人物に嫌疑の目が向けられていくあたりの加速度感は申し分ないが、残りの紙幅もそれなりにあるので、これはまあ、まだ何かあるだろ、と思っていたら後半はなかなかテクニカルな方向に展開。

 ただし警察やアマチュア探偵が足で調べていく方の面白さである(一応、伏線などは張ってあるが)。それでも最後は出来が良いか悪いかはともかく、とにもかくにも謎解きフーダニットパズラーの方向に行くんだろうな~と期待していたら、とんでもない種類のサプライズが出てきてぶっとんだ。

 一瞬、これはどう受けとめるべきかとも思った&迷ったが、次の瞬間にやっぱ冷静に考えて、アレだよね……と思い直す。
 ちなみに読後にTwitter(Ⅹ)で感想を拾うと、笑う笑う。「怪作」のレッテルを貼られるのもむべなるかな、ではある。
 意外な犯人なら、驚かされればいいってモンじゃない。草野作品で某長編ミステリのまったく逆の位相の構造だよ、その辺。

 まあそーゆー意味のウラの面白さ、という意味では、けっこう楽しくはあった(笑)。読んで良かった、とは思う。評点はこんなもんだけど、価値のある? 5点か(笑)。

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