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ミステリの祭典

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血の冠

作家 香納諒一
出版日2008年07月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 猫サーカス
(2021/08/20 18:18登録)
会計課の警察官が主人公で、連続猟奇殺人を扱った警察小説。殺されたのは警察OB。しかも頭蓋骨が切断され、脳みそに釘が刺されていた。二十六年前に殺人者「キング」がやった連続殺人の手口と全く同じだった。弘前中央署の小松は、会計課係長にもかかわらず、幼なじみの警察庁警視正、風間の要請により捜査に加わった。少年時代、二人はキング事件の被害者でもあったのだ。すでに猟奇殺人を扱うサイコブームは去った。警視庁キャリアと地方署の内勤警官という組み合わせも珍しくはない。幼なじみが過去を結ぶ事件に巻き込まれるというのもありふれている。ところが作者は、こうした手垢の付いた題材を盛り込みつつ、主人公の小松を筆頭に、陰影に富み生活臭あふれる人物を登場させることで、迫力あるミステリに仕上げている。虚構に富んだ娯楽性と情感豊かなサスペンスが融合していて読み応えあり。

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