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ミステリの祭典

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報復の密室

作家 平野俊彦
出版日2021年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2022/05/11 20:58登録)
2020年度の第13回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞した作品で、完全に「本格派」な作品です。
薬学部教授の一人称形式で語られますが、作者自身が薬科大学の教授で、熟知した世界を舞台にした作品になっています。巻末の選考評で、島田荘司はプロットを褒めながらもかなり文章表現に文句をつけていますが、確かにあまり文章表現の達者な人とは言えません。たとえば冒頭部分ももっとドラマティックにできたと思います。でも、理科系の先生のデビュー作なのですから、いいとしましょう。最後の部分は大仰な感傷性がうまくはまっていると思います。
最初の教授の娘の殺害事件については、密室構成方法をすぐ二つ思いついたのですが、どちらもありふれたもので、警察がそれについて何の調査もしないはずがありません。そこが全体構成的には弱点ですが、第2の殺人の密室トリックは意表を突く方法でした。

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