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ミステリの祭典

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「謎解き」殺人事件

作家 筑波耕一郎
出版日1987年08月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2021/07/17 17:19登録)
(ネタバレなしです) 1987年発表の本格派推理小説です。人を撥ねて塀にぶつかった車の中から2人の男女が発見されます。男は即死、女もやがて死亡しますが車にはもう1人女性がいたと言い残します(車に撥ねられた男も死亡しています)。問題の女性はどうなったのか、主人公(死んだ女の兄です)が事件を調べると妹は体調不良で車に拾ってもらったらしいのですが、乗せてもらった立場の妹が事故後に運転席で発見されたのはなぜという謎にもぶつかります。ミステリーのネタとしてはアピールの難しい交通事故の謎を上手く盛り上げているのは感心します。その後の主人公とその恋人による捜査が地味ですが堅実です。ただし明確に犯罪の被害者がいて犯人を捜すというプロットでないので読者が自力で謎解きに挑むのは難しいでしょう。中盤からは過去に起きた複数の事件が絡んできて事態はどんどん複雑化します。印象的などんでん返しもありますが、ここまで錯綜した真相は手掛かりを解決前に揃えていたとしても読者が事前に見破るのはまず無理と思われる謎解きでした。

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