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ミステリの祭典

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そして、海の泡になる

作家 葉真中顕
出版日2020年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 HORNET
(2021/07/10 22:09登録)
 バブル期に株取引で無類の強さを見せ「北浜の魔女」と呼ばれた朝比奈ハル。しかしバブル崩壊後、史上最高額の負債を抱え、ハルは自己破産し、最後には人を殺めて入獄、平成が終わる年にひっそりと獄死した。
 その生涯を小説に書こうと決めた"私"は、生前の姿を知る関係者に聞き取りを始める。戦後、バブル、コロナ……日本社会を鋭く描く、社会派ミステリー。
 バブルに浮かれた平成の時代を舞台としながら、そこに跋扈するキナ臭い人々とその中で生き抜く女性の姿を描いた一作。「Blue」でも感じたが、平成という時代の社会風俗の様相をリアルに描く氏の作風には非常に好感もてる。
 "私"が取材を重ねていくドキュメンタリータッチで展開されながら、ラストにはミステリとしての仕掛けも施されており面白い。

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