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ミステリの祭典

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玉依姫
八咫烏シリーズ

作家 阿部智里
出版日2016年07月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 虫暮部
(2021/06/24 13:22登録)
 近年、私は“粗筋紹介は見ずに本編を読む”方針を採用しており、本書ではそれが大正解! そもそも前巻まで読んだ身なら“八咫烏シリーズ第5巻”と言うだけで手に取る理由は充分だしね。
 さてあの話の続きは~と思ったら、冒頭でいきなり現われるサプライズ。粗筋として“説明”されるのと予備知識無しで本文を“読む”のとはやはり全然違う(筈)。未読の方にはこの方式を推奨します。

 諸々の思惑がぶつかり合い擦れ違う。共感し易いポイントを示しつつ幾度も覆す作者の手管に翻弄されることしきり。
 モモの出番がもっと欲しかった。“玉依姫”にまつわるアレコレで西尾維新の物語シリーズや京極夏彦の京極堂シリーズみたいになるのは良いのか悪いのか。
 しかしそれらでは感じられなかった核が本作には一つ用意されている。混乱を描いた物語が、現代社会への批評として成立していること。

 因みに、私は“八咫烏や猿は遺伝子改造により分化した遠未来の人類である”と予想していたが……。

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