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ミステリの祭典

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ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子
女性私立探偵・桐山真紀子/文庫版は二階堂黎人&千澤のり子名義で刊行

作家 宗形キメラ
出版日2007年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2021/06/18 05:21登録)
(ネタバレなし)
 30代後半の私立探偵・桐山真紀子。彼女はさる事情から、警視庁捜査一課の警部補を辞職した経歴の主だ。某知事のボディガードを務めた真紀子は依頼人の盾となって重傷を負い、多額の謝礼金と見舞金をもらって静養していた。そんな彼女のもとに姪の女子大生・三田早麻理(さおり)が相談に来る。早麻理の話は、賃貸マンションをルームシェアしていた同年代の女子・当摩雪江がある日、私物を残して突然いなくなったので、その行方を探して欲しいというものだった。早速、雪江の自室を調べる真紀子だが、彼女はそこに、ある異常なものを見つける。

 二階堂黎人と千澤のり子のコンビが合作ペンネーム「宗形キメラ」名義でスタートさせた、女性私立探偵もの。
 ただしこの新規ペンネーム「宗形キメラ」は、当時の読書人&ミステリファンにあまり親しまれなかったのか、本作の文庫版および桐山真紀子シリーズの第二弾『レクイエム』は、二階堂黎人&千澤のり子というおなじみの名義の方の連名で発売された。身も蓋もない。ちなみに今回、評者は元版の講談社ノベルス版で読了。
(あと、ややこしいけれど、シリーズ第二作『レクイエム』はそんな訳で当初から「二階堂黎人&千澤のり子」名義の著作なので、本サイトへの登録もそっちの連名の方で行う・笑。)

 21世紀国産ミステリ・シーンの女探偵ものらしい、ありがちな失踪者探しで開幕し、後半にはフーダニットのパズラーや社会派ものみたいな要素も強くなるプロット。
 ネタはそれなりに仕込んであり、途中に伏線もいくつか張られているのだが、いろんな方向のエンターテインメント性に目配せしすぎた感のある中盤がやや退屈。クライマックスもいささか強引な展開をまとめ部分でフォローするためか、ちょっと饒舌すぎる。

 それでも全体としては細かいアイデアが豊富に盛られて、佳作以上にはなっているとは思う。
 女性じゃなきゃ書けないだろうなという真紀子の日常描写などから、メイン執筆は千澤のり子の方じゃないかなとも思うが、途中であの、二階堂作品でおなじみの某シリーズ名探偵の名前が出てきてちょっと楽しくなった。世界観がリンクしてるのね。

 Amazonのレビューを窺うとシリーズ2作目はめちゃくちゃ評判悪いようだが、なんか却って読みたくなった(笑)。
 またそのうち、本が安く買えたら手にとってみよう。

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