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ミステリの祭典

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オーディンの鴉

作家 福田和代
出版日2010年04月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 猫サーカス
(2021/05/24 18:58登録)
情報化・監視社会の大型犯罪を取り上げ、事件が現実に発生した時の恐怖を味わえるサスペンス。東京地検による家宅捜索を前に、国会議員の矢島が自殺した。インターネット上では、矢島に関する悪意のこもった写真や動画、そして行動の記録などがあふれていた。ありとあらゆる個人情報がネットに流出する恐怖もさることながら、おぞましいのはマイナスの印象を与えるように断片的な事実が巧みに加工され、ばら撒かれることだ。冤罪事件発生の構図ともよく似ている。本作の凄味は、そんな匿名ネット社会の陰湿さ、不気味さが徹底的に書かれているところにあるだろう。

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