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ミステリの祭典

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黒い時刻表 鉄道公安官・海堂次郎
鉄道公安官シリーズ/別題『鉄道公安官 黒い時刻表』 

作家 島田一男
出版日1977年03月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 人並由真
(2021/05/12 17:26登録)
(ネタバレなし)
 東京駅を本拠とする国鉄の鉄道公安官、海堂次郎を主人公にした全6話の連作中編集。本来は鉄道管内、および車輌内でしか捜査権限はないのだが、事件の枠が在野に広がっていくので、そこら辺は馴染みの刑事や土地の私鉄などとも連携して調査を進める。

 1980年刊行の春陽文庫版が家の中から出てきた(買った覚えはないのだが、たぶん亡き父の蔵書?)ので、たまにはこういうものもいいかな、と思って手に取ったが、全体的に凡庸な事件ものという感じで、う~ん。改めて、似たようなものを書いてもちゃんと読ませる、生島治郎あたりの上手さを思い知った。
 いやキャラクターそのものは主人公もお色気担当の各編のメインゲストヒロインたちも悪くはないし、昭和の風俗描写や地方ローカルの点描なども、これはこれで味はあるのだが、それらがまとまって実にならない話が続くというか。中では、お嬢様学校の女子高校生の裏の顔が実はズベ公で……という『新婚特急の死神』、スリの婆ちゃんがスった財布の中にあった遺書から、事件の裾野が広がっていく『牝豹の軌道』がちょっと面白かったか。
 しかし「(この時代の)日本のエロ映画の半分以上が徳島県で撮影」されていた(『蠢く遺言』)というのはホントだろうか。

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