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ミステリの祭典

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わたしが消える

作家 佐野広実
出版日2020年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 HORNET
(2021/05/01 20:27登録)
 元刑事の藤巻智彦は、同僚の陰謀により濡れ衣を着せられて警察を退職してから、マンションの管理人として細々と生きていた。とある日、妻と離婚して疎遠になっていた、介護士を志す娘から、研修中として担当している身元不明の老人の身元捜索を頼まれる。渋々引き受けた藤巻だったが、それ以来身辺に不穏な動きが。老人の身元にはどんな秘密があるのか?第66回江戸川乱歩賞受賞作。

 「軽度認知障碍」と診断された元刑事が、どこか共感を覚えながら認知障害になった老人の出自を探る。はじめは娘の頼みを聞く程度の調べものだったのだが、調べていくうちに身辺に危険が及んだり、知人が不審な死を遂げたりと抜き差しならぬ状況に。何も語らない老人の過去に何があったのか?新鮮な設定ではないけれども、隠された真実を追う展開は目が離せなく、ぐいぐい読み進めてしまう。
 巻末の選評では筆者の警察組織への知識の浅さが大きな瑕疵であると指摘されているが、本作はそれは修正されているのか?ただそんなことは気にせずに読んでいたので十分面白かった。

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