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ミステリの祭典

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オリガ・モリソヴナの反語法

作家 米原万里
出版日2002年10月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 猫サーカス
(2021/04/23 17:44登録)
子供の頃に何気なく見聞きしたことを、大人になってから、「あれは何だったのだろう?」と疑問に思うことは誰にでもあるはず。この作品の主人公は、中年になったある日、プラハのソビエト学校で過ごした少女時代をたどる旅に出る。彼女が捜すのは、オリガ・モリソヴナという名のダンス教師。常人離れしたダンスの技量を持ち、口の悪さとド派手なファッションで主人公の志摩に強烈な印象を残した高齢の女性だ。オリガとはいったい何者だったのか?彼女が時折見せた不可思議な言動には、どんな意味があったのか?それらを調べるうちに、オリガの秘密とスターリン時代のソビエトの闇を知ることになる。志摩は米原自身をモデルとしており、ソビエト学校時代の描写も彼女の体験に基づいている。ストーリーテリングの巧みさ、登場人物の魅力と生々しさ、物語のスケールの大きさに圧倒される。本書は緻密な取材に深く根ざしたミステリであり、超ド級のエンターテインメントであり、人類が忘れてはならない歴史の記録でもある。

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