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ミステリの祭典

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汚れた7人
悪党パーカー

作家 リチャード・スターク
出版日2008年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 tider-tiger
(2021/05/09 18:39登録)
~前作ですべてを失ったパーカー。『なにもかもなくした いまのぼくにできること』は六人の仲間とスタジアムからフットボールの売上金をかっさらうことだった。仕事は上出来でパーカーはひとまず金をすべて預かって、仲間の一人が当てがってくれた女の家に数日滞在する。ところが、ちょっと煙草を買いに外に出たのが運の尽き。ほんの十分かそこいらの間に女はベッドに串刺しにされて死んでいた。強奪した金も消えていた。~

1966年アメリカ。『死者の遺産』の次に発表されたシリーズ七作目で原題も『The Seventh』パーカーは相変わらずの冷徹非情。数日間同衾していた女を無残に殺されてもその点についてはまるで感情を動かされない。誰の仕業なのか、そもそも目的はなんだったのか。パーカーの頭にはこうしたことしかない。
序盤はテンポも展開もかなりいい。ただ、仕事が終わったら七人でさっさと金を分けて解散でよかったのではなかろうか。パーカーがひとまず金を預かって後日配分とした理由がよくわからない。中盤ではパーカーが安全よりも金を優先して致命的な失態をやらかす。犯罪に関してはトウシロの自分でさえ「これはないない」と思ったものである。終盤のアクションはさすがの面白さで安心?して読める。『顔を雷雲みたいに黒くして』怒っているネイグリは笑える。
本作のパーカーは冷徹非情ではあったが、けっこうな抜け作だし、察しも悪すぎる。もう少し他人の気持ちを理解しようよ――他人のことを尊重し配慮する悪党パーカーというのは調子狂うが――。お陰でいろいろと後味の悪さが残るものの、それでもやっぱり面白い。

※本作の昭和46年(1971年)に角川文庫から出版されたものを所有しております。こちらはamazonに登録ないようです。定価180円です。もっと古い版もあるのかもしれませんが、参考までに。

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