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ミステリの祭典

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独逸怪奇小説集成

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日2001年09月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 小原庄助
(2021/03/18 10:00登録)
今でこそ翻訳物のホラーというと、キングやクーンツら人気作家を擁する米国が本場のように思われているが、戦前の日本では、米国のポオと独逸(ドイツ)のホフマンが怪奇幻想物の双璧と目されていた。
また、本書に収められているシュトローブルの「刺客」は、森鴎外の名著「諸国物語」に訳載され大正期から親しまれてきた名作だし、やはり本書所収の「蜘蛛」をはじめとするエーヴェルスの諸作は、モダニズムと探偵趣味の雑誌「新青年」に訳載され好評を博した。独逸表現主義映画に傾倒していた谷崎潤一郎は、エーヴェル原作の「プラーグの大学生」を最愛の一本に挙げ、江戸川乱歩は「蜘蛛」を改作して「目羅博士の不思議な犯罪」を執筆している。
独逸怪奇文学紹介の先覚者、前川道介が渉猟の折節、慈しむように翻訳した有名無名作家の珠玉作二十八編を収める本書は、日本探偵小説の一源流であり、夢幻の美と魂の戦慄に満ちた、ゲルマンの怪奇世界再発見に最適の一巻である。

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