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ミステリの祭典

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六人の嘘つきな大学生

作家 浅倉秋成
出版日2021年03月
平均点7.50点
書評数22人

No.2 8点 HORNET
(2021/08/11 16:58登録)
 就活中の大学生・波多野祥吾は、大人気IT企業「スピラリンクス」最終選考に残った。最終選考の課題は、祥吾を含めた残った6人でのディスカッション。「全員合格もある」という人事部の言葉を受け、皆で内定をとろうと協力する6人だったが、試験日前日、突然会社から連絡が。それは、急遽採用が「1人」になり、ディスカッションの課題が「自分たちで1人の内定者を決めること」になったという衝撃の知らせだった。突如「ライバル」になってしまった6人。試験会場で待ち受けていたのは、6人の過去の罪を告発する怪文書だった――。
 告発文を仕掛けた「犯人」は誰なのか?限定された空間で繰り広げられるフーダニットの面白さもさることながら、物語には「わずかばかりの筆記と、数十分の面接、ディスカッションで人の本質など見抜けるのか?」逆に「パンフレットや表向きの説明だけで、企業の何が分かるのか?」といった、「就活とはいったい何なのか?」を問うテーマ性がある。
 試験当日のディスカッションで互いの信頼が揺らいでいく様子と並行して、「合格者」が数年後に関係者にインタビューする様が描かれていく。最後に明かされる真相も見事で、とても楽しめる一冊である。

No.1 9点 sophia
(2021/06/30 23:45登録)
人や社会の表と裏、善と悪の二面性にスポットを当てた青春就活ミステリー。ミステリーを読み慣れている人なら第一部終盤に用意されている反転は何となく読めるのではないでしょうか。そして「まだページが半分ぐらい残ってるけど、第二部で何を描くんだろう」などと思うわけですが、第二部でも構図はさらに二転三転していくのです。第一部は過去、第二部は現在という構成ですが、第一部の随所に現在からの振り返りを挿入することが第一部の補完となり、第二部へ向けての伏線にもなっているという実にテクニカルな作品です。8点か9点か迷いましたが、「教室が、ひとりになるまで」を超えなおかつ今回は著者得意のSF要素を使わずにこれだけの物を読ませてくれましたので9点といたします。

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