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ミステリの祭典

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作家 フランツ・カフカ
出版日1962年01月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 虫暮部
(2021/02/27 13:49登録)
 有栖川有栖作品で紹介されていたので手に取ってみた……のだが、これは読みにくい。いや~しんどかった。
 地の文として人物の行動が描かれている部分は、そこに戯画的なおかしみを見出すことも出来る。問題は人が話している部分――これが“会話”と言うよりも交互に長台詞を述べ立てているだけで、その内容も空虚この上なく、恰も読者の忍耐力を試しているよう。これを延々と書き続けられる作者は病気だったんじゃないか。
 しかし最終章でアッと驚く真相と言って言えなくもないかもしれないような見解が語られるので(そこだけミステリだ)、うっかり読み始めてしまったなら最後まで読まないと元が取れない。読んでいるうちに自分が何をしているのか曖昧になって行く感覚があり、そうだ、円城塔に似ている。

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