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ミステリの祭典

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闇の伴走者 醍醐真司の博覧推理ファイル
醍醐真司の博覧推理ファイル

作家 長崎尚志
出版日2015年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2021/02/25 22:55登録)
元警察官の“探偵”水野優希がコンビを組んだのは、容貌魁偉、博覧強記、かつとても感じの悪いフリー編集者・醍醐真司。巨匠漫画家のスタジオに残されていた、未発表作品の謎の解明を依頼されたのだ。やがて、この画稿と過去の連続女性失踪事件が重なりはじめ―。『MASTERキートン』など数々のヒット作を手がけてきた著者が全ての力を注ぎ込んだ、驚天動地の漫画ミステリ。
『BOOK』データベースより。

文章とプロットに難あり。折角の一流の素材を下手な料理で台無しにしてしまった印象です。それでも漫画に関する薀蓄は面白く、その道のプロだからこそ書けたものだと思います。しかし、サスペンス、ミステリとしては謎が最後に収束されるのではなく、その都度明かされていくのでサプライズ感はほとんどありませんでした。その辺りは推理作家としての資質を備えているとは言い難く、この人の限界を感じざるを得ませんね。ドラマ化された本作ですが、上手く脚色されていればそれなりに見応えのあるものに仕上がったのではないかと想像します。

主役の二人醍醐真司と水野優希のキャラは立っていますが、その他は誰が誰だか分からない位インパクトがありません。肝心の「漫画家」と「漫画編集者」に関してもその異常性があまり発揮されていません。惜しいですね、追う者と追われる者が同等の個性や力量を見せてくれないと、両者の対決の構図が骨のあるものになり得ませんので。本当に残念な作品という恨みの残る痛恨の失敗作ではないかと、個人的に思います。

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